久々にお話。アルファー。
時は昼下がりだった。真上に上っていた太陽が少し傾き、照らされたひび割れた大地は少し影を伸ばした。昼も夜もレプリロイドにとっては関係ないと思い込んでいる人間はいるが、レプリロイドにも向き不向きがある。日中の活動で機能を上手く発揮できるタイプが、夜中の活動で能力を十分に生かせるとは限らない。その反対もしかりだった。そして、一般のレプリロイドには極度の暑さに耐え切れないタイプもいる。
「ねー。なんでファーは・・・。こんな暑さでも・・・、平気・・・なの?」
「そうゆう風に作られたからな。お前、いいから黙っていろ」
「むー」
一般のレプリロイドに該当するアルエットは、非一般で純戦闘型レプリロイドのファーブニルに背負われていた。岩肌ばかりの灼熱の大地をすたすたと歩いていた。
「通信も繋がらねえ・・・。簡易転送機もうごかねえ・・・。いかれちまったのか?」
「・・・・・・大丈夫?」
背中のアルエットが心配そうに顔を覗き込んでいた。
「ん? ああ、心配するこたねえよ」
「・・・・・そう」
答えるとアルエットは頷いて顔を背中にうずくめた。そう答えたもののファーブニルは嫌な予感を感じていた。
――熱だけでおかしくなるってことはねえよな。んなもんだったらとっくに使えなくなっているはずだ。
何らかのジャマーがこの場所で働いているとファーブニルは考えていた。このジャマーを無効化する方法は二つ。ジャマーの範囲外へ出て行くか、ジャマーの発生源を叩くか、だった。
――現状だとどっちもむずいな・・・。少なくともこいつがいたら戦えねえ・・・。
アルエットは人間で言う熱射病とほぼ同じ症状を起こしていた。外部から体内に入ってくる熱を処理しきれず、体がオーバーヒートを起こしている。数分前に倒れたのでそれからはファーブニルがアルエットを背負って、適当な避暑地を探しているが体内の温度を下げられるほどの場所は見つかっていない。
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