メモ書き程度に書き留めているのをチョコチョコ載せてみようかと。終わるのかは未定(苦笑)
仮題「銀柱」1です。まずはプロローグ。
「天にとどけ銀の柱 ―1―」
「何かいてるの? 新しい実験?」
そう声をかけられたのは、町外れにある専門学校の裏手の空き地だった。カナは上から降ってきた声に顔も上げず、手にした黒鉛の棒で地面に特徴ある模様を書き続けた。だが、カナは声が聞こえていないわけではない。一心に作業を続けながら、答えた。
「これは画期的な魔法なんだ。今までは誰もやらなかった。けれど、理論上は必ず成功する」
「ふーん」
ヒラは曖昧に相槌を打って、カナが描いている奇妙な模様を眺めた。それは一見黒く塗りつぶされた真円に見える。しかし、少しでも顔を近づけて目を細めれば、それが緻密な呪術文字と、直線と曲線を混ぜた幾何学的な図形で描かれていることに気付くだろう。
「読んでも平気?」
「へーきさ。別にこれを発表するつもりなんかないからね」
その円を9割がた書き終え、カナはようやく顔を上げた。
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