忍者ブログ

思いつきほったて小屋的ブログ

超趣味に走る雑記帳改め小屋的ブログです。
思いついた小ネタ、アニメ感想、ゲーム感想、その他もろもろをざーっと無節操に書くネタ帳兼日記でございます。

[PR]

2025/04/23(Wed)08:19

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

No.|CommentTrackback

二回目。

2006/12/19(Tue)21:00

これは前の続き。

「零れ落ちる青――2――」



「見てみろよ」

背を向けたまま少年は促した。少女は同じように海を見ていたが、何がそんなに面白いのかわからない。
空と陸地では見えるものが違うからわからないのかもしれない。
そう思って、ふよふよとほうきの高度を落として少年の隣に並んだ。

「何を?」
「海だよ。視界一面を水が覆い尽くしているんだぜ。すごいと思わないのか?」

少年は目を輝かせて、海を見つめていた。
空と海、その境にある水平線は、互いの境界線であるのにあいまいに見えるほど、その二つの色はとてもよく似ていた。何度か海を見たことがある少女にとっても、そうやって改めて眺めることは少し新鮮で、自分で思っていたよりも海をじっと眺めていた。太陽の光を反射する海は、蒼い宝石のようにきらきらと輝いていた。
不意に視線を感じて横を振り向くと、少年の蒼い瞳と目が合った。先に視線をずらしたのは、少年の方だった。顔を隠すように反対の方向を向いたので、少女からはその表情が読めない。

「何よ」
「あ・・・・・・。いや・・・。お前ってそんな顔もするんだな」

――なに、それ? どうゆう意味?

意味を図りかねて、少女は眉をしかめた。少し見える横顔が赤らんでいるように見えるのは気のせいだろうか。

「それを言ったらあんただってそうでしょ。本当に、子供みたい」

続けてけらけらと少女は笑った。
それは少女の率直な感想だった。海を見て、驚いて、はしゃいで、目を輝かせている姿は、少女にとってはじめて見る姿だった。これが彼の素顔なのかもしれない、と思った。大切にしていた家族を失い、辛い思いをした彼の。

「あんだと」

子供という言葉に、むっときて少年はすぐにすねた顔になった。でも、対照的に少女は晴れやかに笑った。

「でも、たまにはそーゆーのもいーんじゃない? いっつもしかめっ面してるんだからさ」
「・・・・・・大きなお世話だ。バカやろう」

PR

No.2|TOP小話Comment(0)Trackback()

Comment

Comment Thanks★

Name

Title

Mail

URL



Pass Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 

Trackback

URL :