テイルズオブレジェンディア(TOL)小話、第一弾。モゼノマで、シリアスで、キャラクエのネタばれだったりするので、見るなら注意してください。見てから文句を言われても責任は取りませんよー。
「静かな足音 -1-」
「うそ・・・だよね。ギーとんがモーすけを殺そうとするなんてうそだよ! あんなに・・・、あんなに仲良しだったのにおかしいじゃん!」
さっきまで何があっても信じないつもりでいた。噂とか聞いても、きっとどうにかなる。なんとかなるって思って、この事件を追いかけてきた。なのに、最悪の結果が、目の前の惨状と共に現実になった。風が傍らを通り過ぎたと思ったら、周囲を囲むようにしていたガルフの姿はどこにもなく、ただ傷つき倒れた血まみれのモーすけと、あたしたちが取り残された。
情けないことにあたしは、足がすくんでいた。傷を癒せる爪術を使えるのに、本当なら一番に動いて助けなきゃいけないのに、一瞬茫然自失となって目の前の現実を受け入れることを拒否していた。
幸いなことに、この時のみんなの注意はモーすけに向いていたから、きっと怯えた表情をしているあたしに気付いた人はいないと思う。みんなが前に歩き始めた時には、いつもの表情を表面に出すことはできた。みんなが暗い時ほど、誰かが笑っていなきゃいけないよね。
――あいつは、あたしが倒れた時に一番に来てくれたっていうのに・・・情けない。
駆け寄ることができなかったこと。それはあたしの弱さだった。だから、だからあたしはその分笑って、みんなを励まさなきゃいけない。でも・・・。
「モーすけ・・・。大丈夫だよね・・・」
小さく呟いた言葉に誰も返事はしなかった。空気が重たかった。どうしようもなく。
PR