ノートに書き留めていた話を一つづつでも消化しようということで、ロックマンぜクス小話。プロメテの話を書きました。もっすごシリアスになっています。ゲームのネタばれ有ですので、そこの所をお願いします!
「終りの音」
望む望まないにかかわらず時間は流れていく。
動き出した運命は誰にも止められない。
その運命の結末を迎えるまで――。
建物が音をたてて崩れていく。地面を通して震動が体に伝わってきていた。動かなくなった体で、プロメテはその音を聞いてぼんやりとしながらも意識を取り戻した。
――よく聞いた音だ……。何百年もの長い間ずっと聞き続けていて聞き飽きもしていた音……。
それは壊れる音だった。
レプリロイドが、人が、倒れる音。
遺跡が崩れる音。
町が破壊される音。
死が訪れる音。
そういった音だった。積み上げ築いていたものが、崩れ、壊れ、全く意味も価値もないものに変わる音だった。
エネルギーの使い過ぎでとぎれとぎれになった意識の中で、プロメテは自らが置かれた状況を理解していた。復讐は失敗したのだ。それどころか、この復讐すらも奴の計画の内に入っていた。自分達は結局、生涯奴の手駒として使われ、そして死んでいく。
――崩れるなら崩れてしまえばいい……。
いつかは予想していた未来。必ず来るはずの死。
それが来ただけだった。とうの昔に愛想を尽かしていた世界から、不本意にしろプロメテはようやく解放されるのだ。もやや何もかもどうでも良くなっていた。
ただ、世界は彼の眠りを妨げることを望んだようだった。
「プロメテ…、パンドラ…。ごめん!」
聴覚はほとんど失われているはずだった。それなのにプロメテに、その言葉だけが崩れ落ちる遺跡の中やけにはっきりと聞こえていた。
――ごめん……だと?
眠り始めていたプロメテの体がわずかにたじろいだ。体があげる悲鳴を押し殺しながら、まぶたを開けると人影が遺跡の奥へと消えていくのが見て取れた。その人影が完全に見えなくなると同時に、すぐ近くにいたもっとも目障りな後ろ姿も消えた。
「……ハハ…ハハハハ……」
乾いた笑い声が崩れていくホールに響いた。
――どれだけ惨めだと言いたいんだ。
「……ふざ…けるなよ…」
目の前の死に怯え、仕方なくつき従った。
たくさんの街を破壊した。
たくさんのヒトビトを殺した。
――その俺達に同情だと…?
がれきの崩れが一層早くなった。土ぼこりですぐ隣にいるはずのパンドラの姿ももう見えない。その中でプロメテは笑っていた。この状況を意に介さず、笑いを抑えきれずに笑っていた。
>>>>>>>あとがき
プロメテの最期のシーンからです。あの最後に確かアッシュだったかな? ごめんって言って去って行くじゃないですか。ごめんなんて言われたらプロメテはすっごい不本意だろうなぁと思って書きました。
この後にちょっとパラレルネタになるのですが、続きの話の案があったりします…。書くかどうかはかなり微妙です……。(書くかどうか以前に書けるかどうかの方が大きいです…)orz
PR